2008年6月20日
■ぼくがアンモナイトだった頃 Amazon
これぞ大人の童話!
「ぼくは水底に静かに存在するアンモナイトだった……」表題作の他、希望を売った罪で刑務所に入れられてしまう青年の物語「希望を買ってください」。奇抜な発想で理想と挫折を描く「△□○すみれ党の反乱」、その他「湖面の月」「悲しみのサンタマリア」「うんにゃ」「蝶が飛ぶ」 など、清冽な中に激しさを秘めた珠玉の7作品を収める。
2012年4月29日
■ 大人の童話集 つなみ Amazon
「理由などない。生きるんだ!」未曾有の大震災で大切な人を失いながらも必死に生きる人びとの姿。
東日本大震災のエピソードを元に命の尊さと人間の絆、鎮魂の願いを描いた童話「つなみ」他、生と死をみつめる珠玉の童話集。
〈本書に収録の作品〉
「暦売りのハンス」「白蛇の昇天」「牢獄」「ひとひらの雪」「氷女」
「石飛礫」「神様の鐘」「つなみ」以上8作品
2012年10月1日
主人公の少年、風太は、他の子と少し違っていました。学校にはなじめませんでしたが、両親は風太に麦踏みの仕事を教え、それが大のお気に入りとなりました。子供たちは風太をばかにしていましたが、そんなことは気に止めず、風太はいつも楽しげでした。
そんな時、大地震により発電所から放射能が漏れ、風太たちは故郷に住むことができなくなってしまいました。
村人は村を捨てることを余儀なくさせられました。しかし、風太は防護服を着て、村に入ります。菜の花の種をまくために。何年も何年もひたすら風太は種をまき続けます…そして…。
この作品は、自然と人間の豊かな関係を取り戻すために「未来に向かって、今、私たちができることは何だろうか?」と考えさせる絵本です。この作品を通じて自分の中の「風太」を感じてみてください。
2013年5月17日
「うんにゃ」は口減らしのため、山に捨てられた子供が大男になって里に戻ってくるところから始まります。彼は、いつも笑顔で「うんにゃ」という言葉しか話しません。村人はそんな彼をいつしか「うんにゃ」と呼び、山に捨てた子だとは知らず、受け入れるようになりました。うんにゃは大きな身体で、村人のために田畑を耕し、子供達の遊び相手となり、皆から愛される存在になっていきます。そんな時、村は戦争に巻き込まれ、男達は兵士として徴収されてしまいます。うんにゃは、村を守るために、軍人たちに立ち向かいます。ただひたすら、「うんにゃ」という強い意志をもって、命を投げ出して村を守ろうとするのです。銃弾に倒れたうんにゃの腕には、山に捨てた子の印の十字が浮かびあがってきたのです。それを知った村人たちは……。
愛する人を守るために、私たちは身を挺して、たった一言のNOという言葉が言えるでしょうか。笑顔で世界に対してNOと言う勇気、それこそが人間のもつ本当のやさしさと強さだと、この作品は教えてくれています。
2014年6月22日
■ふたたびのブルー Amazon
親鳥とはぐれ、雨に濡れていたひな鳥が、女の子に命を救われます。ひな鳥は「ブルー」と名付けられ、家族の一員として、白い鳥かごのなかですくすくと育っていきました。大きくなったブルーは大空の向こうにある自由を夢みるようになります。白い鳥かごはそんなブルーの気持ちを知って、ある日、ブルーを大空へと飛び立たせました。ブルーは、どこまでも飛んで行きました。しかし……餌をとる方法も知らず、寝る場所もないブルーは自分の無力さに失望していました。帰る場所もなく、飛び続けたブルーは力尽きて海に墜落してしまいます。浜に打ち上げられたブルーは、一人の男に助けられます。家族を捨て、自由に暮らしているホームレスの男とブルーは互いの存在に慰められます。ある日、男は人生をやり直そうと決意しますが、不運にも命を落としてしまいます。ブルーは、もう一度家族の元に帰ろうと、浜を去る決心をしました。
しかし、ブルーがいない間に、女の子の家庭は崩壊し、一家はちりぢりになっていたのです……。
自由を求めて家族の元から飛び出した青い鳥ブルーの成長と、離れた家族の崩壊と再生を描いた絵本。本当の自由とは、本当の幸せとは何かを問いかける、もうひとつの「青い鳥」の物語である。
2015年5月25日
■若き四角形の悩み Amazon
いろいろな形をした四角形が暮らしている国がありました。四角形たちはお互いにぶつかり合い、いつも衝突を繰り返していました。そんな時、平和な理想郷『円の国』について書かれた本を若い正方形は拾いました。若い正方形は、平和な国を作りたくて、『円の国』を目指して旅に出ます。一年が経った頃、未だ『円の国』を見つけることができない正方形は、故郷で内乱が勃発したことを知ります。そして『円の国』の本が、かつての恋人が命をかけてばらまき、その本を読んだ若者たちが革命軍として蜂起します。正方形は革命を指揮する立場に上り詰めていきます。平和を目指しながらも、闘いは日増しに激しくなっていきます。一斉蜂起の日が近づき、両親に会いに行った正方形は、そこで両親の亡骸を目にします。傷つけ合わないための闘いだったはずなのに・・・正方形は革命を中止しようとします。しかし、すでにそのエネルギーを止めることはできず、そして、一斉蜂起の日がやってきます……。
■争いをやめられない人間を図式的に描いた現代の寓話
「なぜ、ぼくたちはお互いに傷つけ合わなければならないのだろう」互いの違いを認めることができず闘いをやめることができない……現代社会においても同じことが起っています。争いが消えることのできない人間を図式的に描いた現代の寓話です。ラストはハッピーエンドではありません。しかし、そこに著者が伝えたかった希望が描かれています。
2017年11月23日
■ココロの虹 Amazon
街に雨が降り続いていました。
学校、職場、家庭、街で暮らす人たちにも重苦しい雲がかかっていました。いじめ、差別、貧困、介護、失業、育児・・・、それぞれが問題を抱えて生きていました。
しかし、やまない雨はありません。やがて、雲は去り、街に光がさしてきます。そして、空に美しい虹がかかります。晴れ渡った空に、虹を見上げたときに、街で暮らす人のココロに虹の光がさしこみます。これは、ココロの虹がくれた勇気とやさしさのお話です。
美しい虹の輝きが、人々に忘れかけていたやさしい気もちをもたらし、まわりの人にやさしくする勇気を与えてくれます。空にかかる同じ虹を見上げ、街のあちこちでやさしさの小さな奇跡が起こっていきます。『ココロの虹』は、この9つの光かがやく奇跡をオムニバス形式のお話と素敵な絵で描く新しいタイプの絵本です。
お話を読んだ後には、あなたのココロにも美しい虹がかかるはずです。ココロに手をあてて、自分の中にあるやさしさを感じてみてください。それが、ありのままのあなたなのです。さあ、10番目のやさしさの奇跡を起こすのはあなたです。きっと美しいお話となって、大切な人のココロに伝わっていくことでしょう。ココロは世界を映す鏡。世界が美しさを示すとき、ココロも美しくなれる。しかし、世界も心を映す鏡。ココロがやさしくなると、世界もやさしく見える。そして、一人のやさしさは多くの人に広がっていく。「人はちょっとした勇気でやさしくなれる。そんなやさしさが世界を変えていくのかもしれない」そう考えさせられる絵本です。