母が仕事で和服を縫うときに使っていた型紙と竹尺。母の人生が幸せだったかはわからない。ただ最期は微笑んでいた。きっと、自分なりの幸せを測るものさしをもっていたのだと思う。
不安な状況にいながらも、自分の与えられた人生に喜びを感じ、まっすぐな目で生きている人に出会うことがある。自分の幸せの基準値で生きている人たちだ。
そんな人たちを描きたいと思い、この間書きちらしてきたものをひたすらまとめあげている。絵本のあとに短編集が出せるぐらいになっているが、他の人から見ると、きっと、その作業はあまりに孤独で、幸せとはほど遠い。でも、本人はいたって満足で心地よく、朝方まで作業が続いても笑顔でいられている。ようやく自分も、世間や周囲とは関係なく、ぶれることのない幸せの基準値がもてたような気がする。
そして、今、人それぞれにある幸せのかたちを描いていきたいと強く感じている。よければ、皆さんが持っている「幸せを測るものさし」を聞かせてほしい。持っていない人も、それは目の前にあるはず。ただ、そこから逃げて、他人のものさしで生きてしまうのも人間。他人の基準で生きている限り、人は楽ではあるが幸せにはなれない。
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