空腹を感じる

 

 いつの頃からか、「空腹を満たす」から「満腹を感じる」食事に変わり、間食も加わり、時とともに身体には多くの脂肪がつき始めていました。新しく書く作品の主題から、もう一度、若い頃のような空腹感を感じないといけないと、食事を減らし続けていましたが、これまで身体に蓄えられたエネルギーは予想以上に大きく、5か月を経過し、体重が10kg減を超えたところから、ようやく「空腹」を感じるようになりました。

 

 自分の人生での「空腹感」は、けっして絶望感ではなく、「生きていかなければ」という高揚感でした。空腹を感じることで、久しぶりに、身も心も冴えわたり、向かっていく心をもつことができました。一時期、もう書けないのではと思うほど、筆が進まない状況でしたが、勢いを取り戻し、一気に原稿用紙30枚の童話『うんめぇめし』を書き上げることができました。

 

 この作品含め、今月末締め切りの童話関係の賞のいくつかにも応募してみました。他者評価よりも、自分自身がようやくスタートラインに立てたと感じています。来月には、新作の絵本も出版されます。

 

 まだ、若い頃の体重には戻っていませんが、気もちは、あの頃の「読みたい・書きたい」という空腹・飢餓感に近づいてきています。さあ、もう一度、人生を生きなおし、良い作品を書きたい。今は、その高揚感に包まれています。