たとえ実は結ばずとも、花は咲かせて散っていきたいと思う。ただ、咲く花は千差万別。大輪の花もあれば、雑草のように人知れず咲く花もある。自分の花を見つけられた人は、美しい花を咲かせることができる。
久しぶりに、そんな人の心に咲く「花」を描いてみたくなり、鹿児島県に伝わる昔話『人影花』を翻案に時代物の小説『夫婦花』(めおとばな)を書く。盗賊に奪われた妻を取り戻す話だが、めでたしめでたしの話を百姓の現実を描いた悲劇に書き換えたもの。話のモチーフとなる不思議な花は、闇に白糸を吐き、妖しい美しさを放つ「カラスウリ」の花(写真)をイメージして書いてみました。原稿用紙30枚の中編小説。今年三作目、1月末に滑り込みセーフで書き上げました。いつか皆さんにも読んでいただきたい作品です。
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